技術
切り目:
本体のパーツを切りっぱなしで縫いまとめ、裁ち端のコバ面を磨いたりコバインキを塗って仕上げる方法です。ベジタブルタンニン鞣しの革などしっかりした硬めの革が向き、すっきりとしたラインや曲線を出したいときに用いられ、鉋がけや磨きなどの技術が求められます。
ビジネスバッグやダレスバッグ、小物では名刺入れや札入れなどフォーマルなスタイルに見られるディテールです。
FIVE WOODSではTED’Sシリーズがこの製法で組み上げられています。
ヘリ返し:
同じく外側で縫いまとめますが、パーツの裁ち端を内側へ折り返すことをヘリ返しといい、ソフトな素材でよく用いられます。端のラインは表皮でしっかりと保護されておりタッチ感が同じで、切り目に比べると若干丸みを帯び優しげな印象が出ます。
袋縫い:
内側で一旦縫いまとめてからひっくり返し、袋状を形成する仕立てです。
近年はクールビズなどによってビジネスバッグのカジュアル化やソフト化が進行し、またジェンダーレス傾向や熟練職人の減少も伴い袋縫いで仕立てたバッグが増えてきています。
FIVE WOODSではPLATEAUシリーズやGRAINシリーズに採用し、柔らかく優しい曲線を描くデザインに活かしています。
ネン引き:
製品の端にうっすらと入る直線のラインを「ネン」と呼びます。この「ネン」はよく意識をして見ないと気づかないさりげないディテールですが、パーツの接着性を高め製品の表情を引き締める役割を果たす重要な工程です。
1本や2本、また太さの違いなど素材や形状などに合わせてアレンジされ、熟練した職人の手によって丁寧に引かれています。
FIVE WOODSではBASICSシリーズなど小物にもしっかりとネン引きを施しています。
パーツ
金具類:
革鞄にはその重厚で味わいある素材に見合ったパーツとして主に金属パーツが用いられます。昔はイギリスやイタリアなどヨーロッパ製の価値が高く人気がありましたが、近年は日本製のデザインや確かな技術も評価されるようになり多くの型やカラーが安定生産されています。そのなかでも多く使われる代表的なパーツを挙げておきます。
錠前本体と蓋があり、鍵かけ式で開閉ができる錠です。様々な形やサイズがあり、シリンダー式もしくはダイヤル式があります。ダレスバッグやアタッシェケースなど重要な書類を持ち運ぶための鞄には必ずと言っていいほど付いています。錠前一つでフォーマルな印象となり、使い手に信頼感をもたらします。
・カン類
かばんに使われる環状の附属金具は総称して「釻(カン)」と呼びます。
丸型の丸カン、D型のDカン、ストラップを着脱するためのナスカン、ベルトの長さを調節するための送りカンなどがあります。
・バックル
美錠ともよばれ、ベルトの長さを調節するための金具です。昔から変わらない仕組みと形状ですが、革を傷つけにくく誰もが認識できる使い勝手で、普遍的なパーツとして残り続けています。
樹脂パーツ:
アウトドアやスポーツ、またカジュアルバッグには強度に加え軽量性が求められるため、合成樹脂の成形パーツが主に使用されています。筒型のハンドルや差し込み式バックル、アジャスターやファスナーの引き手など、そのほかにも時代のニーズに合わせた多種多様なパーツが生み出されています。
ファスナー:
金属、樹脂成形、樹脂製の3素材のファスナーがあります。それぞれに特徴があり、用途やデザインによって使い分けられています。
・メタル(金属)ファスナー
重厚感がありフォーマルな印象で、革製品に合わせられることが多いファスナーです。メッキ加工によってシルバー、ゴールド、ブラックなどシックなものから高級感のあるものまで多彩なカラーに仕上げることができます。FIVE WOODSで使用しているファスナーは主にこちらのタイプとなります。
・ビスロン(樹脂成形)ファスナー
合成樹脂の成形型ファスナー。務歯のピッチが広めで滑走がスムーズ、また軽量でポップなカラーまで作ることができますのでスポーツやカジュアルアイテムによく使用されます。
・コイル(スタンダード樹脂)ファスナー
ポリエステル樹脂を使用し、務歯の形状がコイル状になって台布に固定されたファスナーです。様々なカラーを作ることができ、カジュアルなアイテムに使用されます。軽量で柔らかいため曲線に合わせやすく製品が屈曲する際も柔軟に対応します。