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コラムColumn

革の用語辞典-2

革の用語辞典-2

エキゾチックレザーの種類


エキゾチックレザーとは、爬虫類や鳥類、また魚類など、希少性が高く個性あふれる独自の模様を持つ皮革の総称です。
ワシントン条約により、ほとんどの革の取引に厳格な規制があるため市場に出回りにくいことが希少性を高めています。
動物各々が独自の鱗やシボ模様をもち、個性的な表情と一般皮革とは別次元の風合いを持つことが特徴です。使いこむほどに馴染み、色艶に深みを帯びていきます。

1.ゾウ
皮革として加工されるのはアフリカジンバブエ内の自然公園内で生態保護のために限定捕獲されたアフリカゾウです。アフリカゾウはワシントン条約の規制に基づき、限定的に取引が行われています。身体が大きいため革として利用するには鼻、耳、胴体の部位に分けられ、それぞれに特有のヒダやシワ模様を持っています。革としての特徴は肉厚ながら日比較的軽く、耐水性や擦り傷に強いという丈夫さをもっています。表面はベルベットのように細かく起毛した滑らかなタッチながら、野性味や重厚感に溢れています。非常にタフな素材のため経年変化はゆっくりで、摩擦や手の皮脂などで表面が平らになっていくことによって徐々に光沢を帯びていきます。艶が出たあとはその状態を保ち、使い始めのマットな表情と比較すると雰囲気が一変するのが印象的な素材です。


2.アザラシ
一般的に「シールレザー」とよばれるアザラシ。日本で昔はアザラシ猟が行われていましたが、現在は法律上禁止されているため限定された地域でわずかに捕獲されるのみとなり、主に北米からの輸入品となっています。厚みがあって丈夫で、波のようにうねったシボ模様があり、もともと海の生き物ということもあり水に濡れても硬くなりにくい特徴を持っています。限られた数量の中で大半がファー(毛皮)素材として流通しています。


3.クロコ
エキゾチックレザーを代表する素材であり、「革の王様」と呼ばれるクロコダイル。最高級の皮革素材として世界中で愛されるワニ革は唯一無二の模様や丈夫さが珍重され様々な高級ブランドが常に注目し、各国でその確保に力を注いでいます。ワニ革は「クロコダイル」、「アリゲーター」、「カイマン」の3種類に分類されますが、なかでも最も美しく高級な「クロコダイル」はサイズや生息地から以下の4種に分けることができます。
ナイルワニ、ニューギニアワニ、シャムワニ、イリエワニ
昔は絶滅の危惧にあいましたが、今では養殖技術によって絶滅を逃れています。特徴はなんといっても美しい斑(ふ)の模様が整然と並ぶ表情です。腹の中心の四角い斑から、横腹にかけての丸い斑までが大変美しく、また軽いうえにしなやかで丈夫であるという強さを併せ持っています。


4.スティングレイ
東南アジアで捕れるアカエイの革がスティングレイです。エイには表層があり、その層をはがすと粒状の鱗があらわれます。その鱗を特殊技法で磨き上げることで独特な輝きを放つことから「海の宝石」と呼ばれます。表面が硬質で、裁断・縫製ともに小刀や強度の高い針を使用しなければ扱えません。背中の中央には「スターマーク」と呼ばれる光を感知する器官をもち、製品のシンボルとしてインパクトと高級感を出す役割を果たします。その丈夫さと、恒久的な風合いであることから古くは刀の柄や防具の一部に使用されていたほどです。


5.シャーク
鮫の革になります。日本で使用されているのは気仙沼産のヨシキリザメという種類で、身はフカヒレや練製品の食べ物に利用され、肝臓は薬品の材料に使われます。その後の残った革を副産物として使用します。動物から革になるまで全てが日本国内で完結する、数少ない純国産のエキゾチックレザーです。


6.カバ
革として市場に出回るのはアフリカ大陸の淡水域に生息する水陸両生のカバです。近年、環境破壊や密猟などの影響によって頭数が減っているため、絶滅危惧の可能性がありワシントン条約の規制対象となっています。鞣される際、表層の角質層を除いているためにヌバックやスウェードのように起毛しています。大柄なサイズとは裏腹に微細な繊維が密集していますので滑らかな質感をもち、同時に独特の網目状のシボ模様が不規則に走り、ワイルドでユニークな表情を持っています。上品でありながらどっしりとした重厚感と迫力に満ちた珍しい素材です。


7.ヘビ
クロコダイルと並んでエキゾチックレザーの代表的な素材である蛇革。他では見られない特有の斑紋(はんもん)やウロコ模様を持ち、所有欲を掻き立てられる唯一無二の存在感からエキゾチックレザーアイテムでは欠かせない素材の一つです。パイソンは体長2m〜4mの大蛇で、以下3種の蛇を指します。
ダイヤモンドパイソン、モレラスパイソン、レッドパイソン。
日本国内の皮革業界で最も多く流通しているのがダイヤモンドパイソンです。全身にダイヤ型の連続的な模様があることから「ダイヤモンド」と呼ばれ、1枚1枚の形状や大きさに個体差がありそれぞれが個性的な存在を放ちます。仕上げとしてはダイヤ柄を活かす場合と、染めて柄を無地にしてウロコのみを活かす場合があり、マットから艶出しまで様々な加工が可能です。
次にモラレスは不規則な石垣状の図形のような模様になっていたり、レッドパイソンは様々なカラーへの染色が向いていたりと種類別の個性を持っています。ソフトな感触で手に吸い付くような柔らかさと滑りを持ち、使うほどに肌に馴染んでいきます。また浮き上がっている鱗は簡単に剥がれることはなく手で無理に引っ張らない限り裂けてしまうこともありませんので意外な丈夫さを持っています。上品さの中にワイルドで妖艶な雰囲気を併せ持つパイソンはメゾン系ブランドから毎シーズンのように新作がリリースされ、常に注目が集まる人気素材です。


8.トカゲ
鱗模様が美しいエキゾチックレザーの中では細かめの模様で、主張しすぎず端正な表情なのがリザード(トカゲ)です。東南アジアやアフリカ大陸に生息する大型のトカゲで、背中に丸い斑紋が並んでいます。大型とはいえ革としてはサイズが小さいため、製品として使用できるアイテムが限られていますので希少価値が高いとされています。耐久性については、繊維が緻密で薄くて軽いわりに引き裂きに強い長所を持っています。使い込むにつれて柔らかくはなりますが、美しい斑紋模様に陰影が加わり奥深い表情へと変化して味わいを増していきます。

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